スマホから自宅 PC に繋いで開発する方法 — Tailscale + SSH セットアップ
「外出先からでも自宅の開発環境を使いたい!」と思ったことはありませんか?この記事では、スマホ(iPhone / Android)から自宅の Windows PC に SSH 接続して開発作業をする方法を解説します。使うツールは 2 つだけです。
- Tailscale: VPN を簡単に構築できるサービス。面倒なポート開放やルーター設定が不要
- Termius: スマホ向けの SSH クライアントアプリ
必要なもの
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 自宅 PC | Windows 11(常時起動しておく) |
| スマートフォン | iPhone または Android |
| Tailscale アカウント | 無料プランでOK |
| Termius アプリ | App Store / Google Play で入手(無料) |
全体の流れ
[Step 1] Windows PC で SSH サーバーを有効化
↓
[Step 2] Tailscale を PC とスマホ両方にインストール
↓
[Step 3] Termius から SSH 接続する
Step 1: Windows 11 に OpenSSH サーバーを設定する
OpenSSH は Windows に標準搭載されていますが、サーバー機能はデフォルトで無効です。まず有効化します。
OpenSSH サーバーをインストールする
設定→システム→オプション機能を開く- 「オプション機能を追加する」をクリック
- 検索欄に
OpenSSHと入力 - 「OpenSSH サーバー」 を選択してインストール
SSH サービスを起動・自動起動に設定する
PowerShell を管理者権限で開き、以下を実行します。
# SSH サービスの起動
Start-Service sshd
# 自動起動の設定(PC 再起動後も有効)
Set-Service -Name sshd -StartupType 'Automatic'
# 起動状態の確認
Get-Service sshd
Status が Running になっていれば起動成功です。
ファイアウォールの確認
# ファイアウォールルールの確認
Get-NetFirewallRule -Name *ssh*
sshd のルールが表示されれば問題なし。ない場合は以下で追加します。
New-NetFirewallRule `
-Name sshd `
-DisplayName 'OpenSSH Server (sshd)' `
-Enabled True `
-Direction Inbound `
-Protocol TCP `
-Action Allow `
-LocalPort 22
接続テスト(PC 内で確認)
ssh <Windows のユーザー名>@localhost
パスワードを求められてログインできれば、SSH サーバーの設定は完了です。
Step 2: Tailscale を PC とスマホに導入する
Tailscale を使うと、面倒なポート開放なしにデバイス間のプライベート VPN を構築できます。同じアカウントでログインしたデバイス同士が、どこのネットワークにいても直接つながります。
PC に Tailscale をインストール
- Tailscale 公式サイトから Windows 版をダウンロード
- インストール後、Google アカウントなどでサインイン
- タスクトレイに Tailscale アイコンが表示されれば完了
スマホに Tailscale をインストール
App Store / Google Play で「Tailscale」を検索してインストールします。PC と同じアカウントでログインするのがポイントです。
PC の Tailscale IP アドレスを確認
tailscale ip -4
100.x.x.x 形式の IP アドレスが表示されます。これをメモしておきます。
Step 3: Termius で SSH 接続する
Termius をインストール
App Store / Google Play で「Termius」を検索してインストールします。
SSH 接続先を登録する
- Termius を開き、下部メニューの「Hosts」をタップ
- 右上の「+」→「New Host」を選択
- 以下の情報を入力
| 項目 | 入力値 |
|---|---|
| Alias(ホスト名) | 任意(例:home-pc) |
| Hostname | Tailscale の IP アドレス(100.x.x.x) |
| Port | 22 |
| Username | Windows のユーザー名 |
| Password | Windows のパスワード |
登録したホストをタップして接続します。Windows のターミナルが表示されれば接続成功です。
セキュリティ強化:SSH 鍵認証を設定する
パスワード認証よりも SSH 鍵認証の利用を推奨します。
鍵の生成(Termius 内で完結)
- Termius → 「Keychain」タブ → 「+」→「New Key」
- Key Type は
Ed25519を選択(推奨) - 任意の名前をつけて「Generate」をタップ
- 生成された**公開鍵(Public Key)**をコピー
公開鍵を Windows に登録する
# .ssh ディレクトリの作成(なければ)
New-Item -ItemType Directory -Force -Path "$env:USERPROFILE\.ssh"
# authorized_keys ファイルに公開鍵を追記
Add-Content -Path "$env:USERPROFILE\.ssh\authorized_keys" -Value "<ここに公開鍵を貼り付け>"
パスワード認証を無効化する(任意)
鍵認証が動作確認できた後、パスワード認証を無効にするとよりセキュアになります。
notepad C:\ProgramData\ssh\sshd_config
# 変更前
#PasswordAuthentication yes
# 変更後
PasswordAuthentication no
Restart-Service sshd
鍵認証が確実に動作することを確認してからパスワード認証を無効化してください。設定を誤ると SSH 接続できなくなります。
できること・できないこと
| できること | できないこと |
|---|---|
| ターミナル操作全般 | GUI アプリの操作 |
| Git 操作(commit / push / pull) | VS Code などの GUI 操作 |
| スクリプト・テストの実行 | 重いビルド作業(操作性の問題) |
| ファイルの確認・テキスト編集(vim 等) | 音声・動画の再生 |
| サーバーの起動・停止 | グラフィカルな確認作業 |
テキストベースの操作が中心です。Git の管理やサーバーの起動確認など、ちょっとした作業をどこからでもできるのが最大のメリットです。
トラブルシューティング
接続できない場合のチェックリスト
□ 自宅 PC の電源が入っているか
□ Tailscale が PC とスマホ両方で起動しているか
□ Tailscale の管理画面で PC が「Connected」になっているか
□ IP アドレスを正しく入力しているか
□ SSH サービスが起動しているか(Get-Service sshd)
□ ファイアウォールでポート 22 が許可されているか
よくあるエラーと対処法
| エラー | 対処 |
|---|---|
Connection refused | Start-Service sshd で SSH サービスを再起動 |
Connection timed out | Tailscale の IP アドレスか接続状態を確認 |
Permission denied | ユーザー名・パスワードまたは公開鍵の登録を再確認 |
まとめ
- Tailscale で VPN 構築 → ポート開放不要でセキュアな接続
- OpenSSH を Windows 11 で有効化 → スマホからのターミナル操作が可能に
- Termius で快適な SSH 接続 → 外出先でもコードに触れる環境を実現
一度設定すれば、次回以降は Termius を開いてタップするだけで接続できます。カフェや移動中のちょっとした作業にぜひ活用してみてください。