Snowflake 2026年前半アップデート — Cortex Code GA・Iceberg v3・AIエージェント基盤への進化
2026年に入って Snowflake は「AI Data Cloud」としての立ち位置を明確にし、データウェアハウスからエージェント基盤へのシフトを加速しています。2026年1〜4月の主要アップデートを整理します。
Cortex Code — Snowsight 上で GA(2026年3月)
2026年3月9日、Cortex Code が Snowsight UI で正式リリース(GA)となりました。Cortex Code は Snowflake データに文脈を持つ AI コーディングエージェントで、SQL・Python 開発、エンドツーエンドの ML、データ探索、アカウント管理をカバーします。
主な機能
- Agent Teams: 複数エージェントが協調して大規模タスクを処理
- dbt・Apache Airflow との統合(CLI は GA:2026年2月2日)
- Windows CLI サポートの追加
- Data Science Skills(機械学習・データサイエンス向けスキルセット)のプレビュー
2026年4月21日付のプレスリリースでは、Snowflake Intelligence と Cortex Code を「エージェント企業のコントロールプレーン」と位置づけ、OpenAI GPT-5.4 の Private Preview 対応も発表されています。
AI 関数スイートの GA(2026年1月)
2026年1月22日、AI_AGG・AI_SUMMARIZE_AGG・AI_FILTER などの AI 関数スイートが GA になりました。
| 関数 | 概要 |
|---|---|
AI_AGG / AI_SUMMARIZE_AGG | テキストの集約・要約。GROUP BY 対応。AI_COMPLETE 比で最大 2 倍のスループット |
AI_FILTER | 自然言語述語による行フィルタリング |
AI_COUNT_TOKENS | トークン数カウント(1月27日 GA) |
-- AI_FILTER でレビューを自然言語フィルタリング
SELECT product_id, review_text
FROM product_reviews
WHERE AI_FILTER(review_text, '製品に満足していないと述べている');
-- AI_AGG でカテゴリ別のレビューを要約
SELECT category, AI_AGG(review_text, '主要な不満点を3点でまとめてください')
FROM product_reviews
GROUP BY category;
2026年4月10日には AI 機能へのクレジット予算管理(AI Feature Budgets)も GA となり、チーム・コストセンター単位で AI 利用コストをコントロールできるようになりました。
Apache Iceberg v3 サポートと Snowflake 管理ストレージ
Iceberg v3 サポート(2026年3月4日、プレビュー)
Apache Iceberg v3 の主要機能がプレビュー提供されました:
| 機能 | 説明 |
|---|---|
| カラムへのデフォルト値設定 | 新規カラム追加時のデフォルト値指定 |
| Deletion Vectors | 書き込みパフォーマンスの改善 |
| Row lineage tracking | ガバナンス・監査向けの行系譜追跡 |
| Variant 型 | 柔軟な半構造化データ対応 |
-- Iceberg v3 テーブルでの Deletion Vectors 活用例
CREATE OR REPLACE ICEBERG TABLE events_iceberg (
event_id BIGINT,
user_id STRING,
payload VARIANT,
created_at TIMESTAMP
)
EXTERNAL_VOLUME = 'my_s3_volume'
CATALOG = 'SNOWFLAKE'
BASE_LOCATION = 'events/';
Snowflake ストレージ for Iceberg テーブル(2026年4月14日、プレビュー)
Snowflake 管理ストレージ上で Iceberg テーブルを直接ホスティングする機能がプレビュー公開されました。
特徴:
- AWS・Azure 対応
- 7日間のマネージドリカバリウィンドウ(Fail-safe)
- 外部の Spark・Trino クラスターからは標準 Iceberg テーブルとして見える
アーキテクチャの選択肢:
従来:
S3 上の Iceberg テーブル → Snowflake 外部テーブルとして参照
→ メタデータ更新の管理が必要
新しい選択肢:
Snowflake ストレージ管理 Iceberg テーブル
→ Snowflake が自動でメタデータ管理
→ Spark/Trino からも標準 Iceberg として利用可能
その他の注目アップデート(1〜4月)
| 日付 | 機能 | 状態 |
|---|---|---|
| 2026-01-30 | Microsoft Fabric 双方向アクセス | GA |
| 2026-02-19 | ML Experiments(ネイティブ機械学習実験フレームワーク) | GA |
| 2026-02-24 | Snowflake Postgres(PostgreSQL 互換インターフェース) | GA |
| 2026-04-20 | Cortex AI Guardrails(AI 出力の安全性・コンプライアンス制御) | GA |
| 2026-04-20 | Arctic-Extract ファインチューニング(エンタープライズデータによるカスタムモデル訓練) | GA |
Snowflake Postgres の活用シーン
既存の PostgreSQL アプリケーションをコードの変更なしに Snowflake に接続できます。
import psycopg2
# PostgreSQL クライアントで Snowflake に接続
conn = psycopg2.connect(
host="myaccount.snowflakecomputing.com",
port=5432,
database="mydb",
user="myuser",
password="mypassword"
)
cursor = conn.cursor()
cursor.execute("SELECT COUNT(*) FROM events WHERE event_date >= CURRENT_DATE - 7")
print(cursor.fetchone())
Snowflake の戦略的方向性
2026年前半のアップデートから見えるのは、データウェアハウスから AI エージェント基盤へのシフトです。
Snowflake の進化の方向:
データウェアハウス(従来)
↓
データプラットフォーム(Snowflake Data Cloud)
↓
AI エージェント基盤(2026年〜)
├── Cortex Code(コーディングエージェント)
├── Agent Teams(マルチエージェント協調)
├── AI Feature Budgets(コスト管理)
└── Cortex AI Guardrails(ガバナンス)
オープンなデータアーキテクチャ(Iceberg v3 + Snowflake 管理ストレージ)と AI エージェント機能の組み合わせにより、ベンダーロックインを避けながら Snowflake の AI 機能を活用する設計が可能になっています。
まとめ
- Cortex Code GA: SQL・Python 開発から ML まで、データコンテキストを持った AI コーディングエージェントが本番利用可能に
- AI 関数スイート GA: SQL クエリ内で自然言語処理が実行可能。AI Feature Budgets でコスト管理も
- Iceberg v3 + Snowflake 管理ストレージ: オープンフォーマットを維持しながら Snowflake の管理機能を享受できる設計が実現
- Snowflake Postgres GA: 既存 PostgreSQL アプリケーションのノーコード移行が可能